1000BASE-TX か、1000BASE-T か
光ケーブルによる通信技術が規格化され、実装技術が確立すると、次はより安価なメタルケーブルで。
10BASE-F と10BASE-T、FDDI とCDDI、100BASE-FX と100BASE-TX・・・LAN 技術の普及は
いつもこのような流れを辿っています。
すでに普及期に入ったGigabit Ethernet も、例外ではありません。
1000BASE-T のLAN カードは二、三千円で買うことができます。
デスクトップまでギガビットという流れを受けて、小型のワークグループスイッチでも10/100/1000Mbps をサポートするのが当たり前になってきました。
メーカのサイトを見ると、1000BASE-T をTX と間違っているケースが散見されますが、
1000BASE-TX という規格は、1000BASE-T とは別に存在します(互換性もありません)。
1000BASE-TX は、IEEE802.3ab が策定される前、Lucent Technlogies が提案した技術が元になっています。
残念ながらIEEE802.3ab では採用されませんでしたが、改めてEIA/TIA に提案され、EIA/TIA-854-A として規格化されました。
IEEE802.3ab(1000BASE-T) では、UTP ケーブルの4ペアすべてで送受信処理を行います(1ペア = 250Mbps)。
各ペアの両端にはハイブリッド回路が置かれ、送受信信号の分離を行う必要があります。4ペア間の同期を取るための処理も要求され、実装コストを押し上げる要因になっています。
+--- TX/RX ---- <-- 250Mbps --> ---- TX/RX ---+
+--- TX/RX ---- <-- 250Mbps --> ---- TX/RX ---+
<<---+ +--->>
+--- TX/RX ---- <-- 250Mbps --> ---- TX/RX ---+
+--- TX/RX ---- <-- 250Mbps --> ---- TX/RX ---+
これに対してEIA/TIA-854-A(1000BASE-TX) では、2ペア毎に送受信を独立して行わせる事で、信号分離やペア間の同期に要する負荷を軽減しています。
1000BASE-T と比較して、1000BASE-TX は安価に実現できることから、Cheaper Gigabit Ethernet と呼ばれることもあります。
+--- TX --------> 500Mbps --> --------- RX ---+
+--- TX --------> 500Mbps --> --------- RX ---+
<<---+ +--->>
+--- RX ----- <-- 500Mbps <------------ TX ---+
+--- RX ----- <-- 500Mbps <------------ TX ---+
1000BASE-T はCategory5e で実現できますが、1000BASE-TX はCategory6 以上のケーブルが必要となります。
これが1000BASE-TX の普及を妨げている要因でしょうか。
普及期に入った1000BASE-T の、量産効果によるコストダウンも大きな要因となっているようです。
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