ネットワークエンジニアになろう! > HSRPを究める > HSRP を究める(14) ICMP Redirect

この記事は、改訂&リニューアルして『P はプロトコルのP - HSRP を究める』へ移転しました。

HSRP を究める(14) ICMP Redirect

HSRP を使っているインターフェイスで、ICMP Redirect を有効にすると、Virtual Router による冗長構成が活かされない状況が発生することがあります。

上図では、Router-B がActive Router になっており、インターフェイスEthernet0/0 でICMP Redirect が有効になっています。
Ethernet1/0 では、ルーティングプロトコルのコストを増加させています。
そのため、Router-B のルーティングテーブル上で、150.0.0.0 へ到達するためのNext Hop は192.168.1.100(Router-B のEthernet0/0) となっています。

左側のPC が、150.1.1.1 宛のパケットを、Active Router (Router-B) へ送ると、Router-B は、192.168.1.100(Router-A) へ中継します。
このように、Router-B がActive Router であっても、150.0.0.0 宛のパケットはすべて、Router-A を介して転送されます。

ここで、Router-B のEthernet0/0 で、ICMP Redirect を有効にします。

150.1.1.1 宛のパケットを受け取ると、Router-B は、192.168.1.100(Router-A) をゲートウェイとするICMP Redirect を、送信元に送ります。

ICMP Redirect を受け取ると、PC はルーティングテーブルに、150.1.1.1 宛のゲートウェイを192.168.1.100とするエントリを作成します。
以後の150.1.1.1 宛のパケットはすべて、Router-A に直接送られます。

ここまではすべて上手くいっているように見えますが、この後Router-A がなんらかの理由で使用不可となると、PC が150.1.1.1 宛にパケットを送る手段はなくなります。

HSRP を使ってゲートウェイを冗長化しているにもかかわらず、一台のルータが使用不可となったために、通信ができない状況が発生するわけです。

そのような状況を回避するため、Cisco のIOS では、HSRP の設定をしたインターフェイスではICMP Redirect が自動的に無効となります。

もちろん、意図的にICMP Redirect を有効にすることはできますが、警告メッセージが表示されます。



Router(config-if)#ip redirects
% Warning: the combination of ICMP redirects and HSRP on the same
% interface may result in lost packets.
Router(config-if)#

警告は出ますが、設定は有効になります。


HSRP を究める (1) はじめに
HSRP を究める (2) バーチャルルータ
HSRP を究める (3) バーチャルルターのアドレス
HSRP を究める (4) Hello の交換
HSRP を究める (5) HSRP のパケットフォーマット
HSRP を究める (6) HSRP メッセージの種類
HSRP を究める (7) HSRP のTimer
HSRP を究める (8) HSRP ステート(State)
HSRP を究める (9) Gratuitous ARP
HSRP を究める(10) Preempt
HSRP を究める(11) Standby Delay コマンド
HSRP を究める(12) Interface Tracking
HSRP を究める(13) BIA (Burnt In Address)
HSRP を究める(14) Authentication
HSRP を究める(15) ICMP Redirect
HSRP を究める(16) ICMP Redirect との協調動作

HSRP を究める - 実践編(1) HSRP を設定する前の状況を確認する
HSRP を究める - 実践編(2) Standby Group をつくる
HSRP を究める - 実践編(3) Active Router に障害を発生させてみる(1)
HSRP を究める - 実践編 (4) Preempt とプライオリティを設定する
HSRP を究める - 実践編 (5) Active Router に障害を発生させてみる(2)
HSRP を究める - 実践編 (6) Interface Tracking
HSRP を究める - 実践編 (7) Timer を変更する
HSRP を究める - 実践編 (8) Standby Group に参加するルータの認証
HSRP を究める - 実践編 (9) Standby Group を追加する
HSRP を究める - 実践編(10) Active Router に障害を発生させてみる(3)
HSRP を究める - 実践編(11) Standby Group に名前を付ける
HSRP を究める - 実践編(12) ICMP Redirect(1)Active Router
HSRP を究める - 実践編(13) ICMP Redirect(2)Passive Router
HSRP を究める - 実践編(14) ICMP Redirect(1)Unknown Router
HSRP を究める - 実践編(15) 設定用コマンド(1)
HSRP を究める - 実践編(16) 設定用コマンド(2)
HSRP を究める - 実践編(17) 設定用コマンド(3)
HSRP を究める - 実践編(18) 設定用コマンド(4)
HSRP を究める - 実践編(19) 設定用コマンド(5)
HSRP を究める - 実践編(20) show コマンド

HSRP を究める - 応用編(1) 複数のインターフェイスをトラッキングする(1)
HSRP を究める - 応用編(2) 複数のインターフェイスをトラッキングする(2)
HSRP を究める - 応用編(3) IP の経路情報 をトラッキングする(1)
HSRP を究める - 応用編(4) 異なる種類のObject をトラッキングする
HSRP を究める - 応用編(5) 特定のIP アドレスへの到達性をトラッキングする
HSRP を究める - 応用編(6) トラッキング対象のObject に重み付けをする
HSRP を究める - 応用編(7) HSRP version 2
HSRP を究める - 応用編(8) HSRP version 2 のパケットフォーマット
HSRP を究める - 応用編(9) HSRP version 2 (2)


ネットワークエンジニアになろう!のトップページへ戻る
サイト内検索
無料メールマガジン「英語でネットワークエンジニア」
マニュアルやRFCを読むのに必要なのは、高度な文法知識ではなく語彙力です。毎回一単語、例文と解説に技術情報を併せてお届けします. (マガジンID:0000181633)
メールアドレス:
Powered by
This website is powered by Movable Type 3.2 Smartnetworks.jp.