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HSRP を究める - 実践編(16) 設定用コマンド(2)

HSRP 関連のコマンド一覧です。


    standby preempt dealy sync
    standby priority
    standby track
    standby timers



[no] standby [Group Number] preempt dealy sync [value]

Stateful NAT など、複数のルータ間で機能を冗長化している場合に使用します。
ルータの切り替わりに際して、アドレス変換テーブルなどの情報の同期が完了するまで、HSRP のActive Router 切り替わりを遅らせる秒数を指定します。

IOS version 12.0(2)T から使用可能です。

    Group Number
    Standby Group 番号。0から255まで指定できます。
    指定しない場合、0が選択されます。
    IOS version 12.3(4)T からサポートされるHSRP version 2 を使用する場合は、0から4095まで指定できます。

    Value
    Preempt が働くまでの間隔を秒数で指定します。
    0から3600で指定可能です。

コマンドの先頭にno を付けると、設定を削除できます。

※ preempt delay minumum / reload / sync コマンドも一括で実行可能です。

    例:standby 30 preempt delay minimum 10 reload 30 sync 30


[no] standby [Group Number] priority [Value]

HSRP のプライオリティを指定します。
値が大きいほど、プライオリティが高くなります。

IOS version 11.3 から使用可能です。

    Group Number
    Standby Group 番号。0から255まで指定できます。
    指定しない場合、0が選択されます。
    IOS version 12.3(4)T からサポートされるHSRP version 2 を使用する場合は、0から4095まで指定できます。

    Value
    プライオリティを0から255の間で指定します。

コマンドの先頭にno を付けると、設定を削除できます。

以前は、Preempt の設定も同時に行うこともできましたが、IOS version 12.2 からは、別なコマンドになりました。



[no] standby [Group Number] track [Interface Name] [Value]

Interface tracking の監視対象インターフェイスと、プライオリティの下げ幅を指定します。
トラックしているインターフェイスがダウンすると、プライオリティを下げることで、他のルータがActive Router になることを促します。
下げ幅は、他のルータがActive Router になれるように考慮する必要があります。

IOS version 10.3 から使用可能です。

    Group Number
    Standby Group 番号。0から255まで指定できます。
    指定しない場合、0が選択されます。
    IOS version 12.3(4)T からサポートされるHSRP version 2 を使用する場合は、0から4095まで指定できます。

    Interface Name
    監視対象のインターフェイスを指定します。

    Value
    プライオリティの下げ幅を指定します。
    指定しない場合は、10が選択されます。

コマンドの先頭にno を付けると、設定を削除できます。



[no] standby [Group Number] timers [msec1] [Hello] [msec2] [Hold]

HSRP で使用するタイマー値を設定します。
IOS version 10.0 から使用可能です。

    Group Number
    Standby Group 番号。0から255まで指定できます。
    指定しない場合、0が選択されます。
    IOS version 10.3 から、Group 番号を指定できるようになりました。
    IOS version 12.3(4)T からサポートされるHSRP version 2 を使用する場合は、0から4095まで指定できます。

    msec1
    Hello Time をミリ秒単位で設定することを指定します。
    省略した場合は、秒単位になります。
    IOS version 11.2 から指定可能になりました。

    Hello
    Hello Time を設定します。
    秒単位の場合は、1から254の間で指定可能です。
    ミリ秒単位の場合は、15から999の間で指定可能です。

    msec2
    Hold Time をミリ秒単位で設定することを指定します。
    省略した場合は、秒単位になります。
    Hello Time を秒単位で設定した場合、msec2は指定できません。
    IOS version 11.2 から指定可能になりました。

    Hold
    Hold Time を設定します。
    秒単位の場合は、Hello Time の値 + 1から255の間で指定可能です。
    ミリ秒単位の場合、

      Hello Time の3倍が50未満の場合(15、16)、50から3000の間
      Hello Time の3倍が50以上の場合、Hello Time の3倍から3000の間

    で指定可能です。

コマンドの先頭にno を付けると、設定を削除できます。

Cisco は、Hold Time を250ミリ秒未満にした場合、HSRP State のフラッピングが起こる可能性を指摘しています。
また、Cisco7200 より小型のルータ、100Mbps 未満の低速インターフェイスで、Hold Time を250ミリ秒未満にしないことを推奨しています。

フラッピングが発生すると、CPU の使用率が高騰し、他の機能へ影響することがあります。
process-max-time を使用することで、単一のプロセスがCPU を占有することを防ぐ方法が提示されています。
確かにCPU の占有は防げますが、フラッピングは防げませんので本末転倒です。

Cisco IOS IP Application Services Commands, Release 12.2
"standby timers" から抜粋

Some HSRP state flapping can occasionally occur if the holdtime is set to less than 250 milliseconds, and the processor is busy. It is recommended that holdtime values less than 250 milliseconds be used on Cisco 7200 platforms or better, and on Fast-Ethernet or FDDI interfaces or better. Setting the process-max-time command to a suitable value may also help with flapping.

通常Hello Time やHold Time は、他のルータのHello メッセージから学習できますが、ミリ秒単位で設定された値は学習されません。
同じ値を、全てのルータに設定する必要があります。



HSRP を究める (1) はじめに
HSRP を究める (2) バーチャルルータ
HSRP を究める (3) バーチャルルターのアドレス
HSRP を究める (4) Hello の交換
HSRP を究める (5) HSRP のパケットフォーマット
HSRP を究める (6) HSRP メッセージの種類
HSRP を究める (7) HSRP のTimer
HSRP を究める (8) HSRP ステート(State)
HSRP を究める (9) Gratuitous ARP
HSRP を究める(10) Preempt
HSRP を究める(11) Standby Delay コマンド
HSRP を究める(12) Interface Tracking
HSRP を究める(13) BIA (Burnt In Address)
HSRP を究める(14) Authentication
HSRP を究める(15) ICMP Redirect
HSRP を究める(16) ICMP Redirect との協調動作

HSRP を究める - 実践編(1) HSRP を設定する前の状況を確認する
HSRP を究める - 実践編(2) Standby Group をつくる
HSRP を究める - 実践編(3) Active Router に障害を発生させてみる(1)
HSRP を究める - 実践編 (4) Preempt とプライオリティを設定する
HSRP を究める - 実践編 (5) Active Router に障害を発生させてみる(2)
HSRP を究める - 実践編 (6) Interface Tracking
HSRP を究める - 実践編 (7) Timer を変更する
HSRP を究める - 実践編 (8) Standby Group に参加するルータの認証
HSRP を究める - 実践編 (9) Standby Group を追加する
HSRP を究める - 実践編(10) Active Router に障害を発生させてみる(3)
HSRP を究める - 実践編(11) Standby Group に名前を付ける
HSRP を究める - 実践編(12) ICMP Redirect(1)Active Router
HSRP を究める - 実践編(13) ICMP Redirect(2)Passive Router
HSRP を究める - 実践編(14) ICMP Redirect(1)Unknown Router
HSRP を究める - 実践編(15) 設定用コマンド(1)
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HSRP を究める - 実践編(19) 設定用コマンド(5)
HSRP を究める - 実践編(20) show コマンド

HSRP を究める - 応用編(1) 複数のインターフェイスをトラッキングする(1)
HSRP を究める - 応用編(2) 複数のインターフェイスをトラッキングする(2)
HSRP を究める - 応用編(3) IP の経路情報 をトラッキングする(1)
HSRP を究める - 応用編(4) 異なる種類のObject をトラッキングする
HSRP を究める - 応用編(5) 特定のIP アドレスへの到達性をトラッキングする
HSRP を究める - 応用編(6) トラッキング対象のObject に重み付けをする
HSRP を究める - 応用編(7) HSRP version 2
HSRP を究める - 応用編(8) HSRP version 2 のパケットフォーマット
HSRP を究める - 応用編(9) HSRP version 2 (2)


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