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この記事は、改訂&リニューアルして『P はプロトコルのP - HSRP を究める』へ移転しました。

HSRP を究める (5) HSRP のパケットフォーマット

HSRP のパケットフォーマットです。

Ethernet


宛先MAC アドレスは、01-00-5E-00-00-02 です。
送信元MAC アドレスは、Active Router の場合はVirtual MAC アドレスです。
Active 以外のルータは、Real MAC アドレスを使います。



IP


HSRP は、サブネット内でのみ有効なプロトコルです。
HSRP のパケットはルーティングされる必要がないので、IP ヘッダのTTL(Time To Live) は必ず1になります。

HSRP はUDP を使用するので、Protocol フィールドには17(10進数)が入ります。

宛先IP アドレスは、サブネット内のすべてのルータを意味する224.0.0.2 になります。
送信元IP アドレスは、HSRP パケットを送信するインターフェイスのReal IP アドレスです。



UDP


UDP のポート番号は、宛先/送信元のどちらも、HSRP を意味する1985(10進数)が入ります。



HSRP


Version

HSRP のVersion は0です。

Opcode


HSRP メッセージの種類を意味します。
HSRP のOpcode (オプコード)は、Hello、Coup、Resign、Advertisement の四種類があります。

※ Advertisement は、IOS version 12.1(3)T からサポート

各Opcode の詳細については、後述します。

State


Standby Group に所属しているルータのState (ステート:状態)を意味します。
HSRP のState は、Init、Learn、Listen、Speak、Standby、Active の六種類があります。
各State の詳細については、後述します。

Hello Time


ルータがHello メッセージを送信する間隔を意味します。
デフォルトは3秒です(1〜254秒までの間で設定可能です)。

Hold Time


他のルータから受信したHello メッセージの内容を保持する時間を意味します。
デフォルトは10秒です("Hello Time + 1秒" 〜 255秒までの間で設定可能)。

Active Router からの最後のHello メッセージ受信後、Hold Time の秒数が経過すると、Standby Router は、Active Router が存在しなくなったと判断して、自分がActive Router になろうとします。

Hello Time とHold Time は、Active Router に設定された値が、Standby Group 内で共有されます。
Active Router が切り替わると、新しいActive Router に設定されている値に変わります。

※ 値が変わるのは、新しいActive Router に、明示的に値が設定されている場合だけです。明示的に設定されていない場合(デフォルト値)は、以前のActive Router の値が使われ続けます。

同様に、Standby Router からの最後のHello メッセージ受信後、Hold Time が経過すると、Listen State にあったルータは、Stnadby Router が存在しなくなったと判断して、自分がStandby Router になろうとします。

Priority


ルータに設定されたプライオリティが入ります。
プライオリティが一番高いルータがActive Router に、二番目に高いルータがStandby Router になります。
プライオリティが同じ場合は、Real IP アドレスが比較の対象となります。
プライオリティのデフォルトは100です(0〜255の間で設定可能です)。

Standby Group


ルータに設定されたStandby Group 番号が入ります。
Standby Group 番号のデフォルトは0です。
(Standby Group 番号を設定しない場合は、0が自動的に設定されます。show running-config には反映されませんが、show standby を実行すると、Group 番号が0になっているのが確認できます)

Reserved


未使用フィールドです。このフィールドには0が格納されています。

Authentication Data


認証用の文字列(平文)が入ります。
文字列を設定することで、Standby Group に参加するルータの簡易認証を行うことができます。

Virtual IP Address


設定された(もしくは、他ルータから学習した) Virtual IP アドレスが格納されます。


HSRP を究める (1) はじめに
HSRP を究める (2) バーチャルルータ
HSRP を究める (3) バーチャルルターのアドレス
HSRP を究める (4) Hello の交換
HSRP を究める (5) HSRP のパケットフォーマット
HSRP を究める (6) HSRP メッセージの種類
HSRP を究める (7) HSRP のTimer
HSRP を究める (8) HSRP ステート(State)
HSRP を究める (9) Gratuitous ARP
HSRP を究める(10) Preempt
HSRP を究める(11) Standby Delay コマンド
HSRP を究める(12) Interface Tracking
HSRP を究める(13) BIA (Burnt In Address)
HSRP を究める(14) Authentication
HSRP を究める(15) ICMP Redirect
HSRP を究める(16) ICMP Redirect との協調動作

HSRP を究める - 実践編(1) HSRP を設定する前の状況を確認する
HSRP を究める - 実践編(2) Standby Group をつくる
HSRP を究める - 実践編(3) Active Router に障害を発生させてみる(1)
HSRP を究める - 実践編 (4) Preempt とプライオリティを設定する
HSRP を究める - 実践編 (5) Active Router に障害を発生させてみる(2)
HSRP を究める - 実践編 (6) Interface Tracking
HSRP を究める - 実践編 (7) Timer を変更する
HSRP を究める - 実践編 (8) Standby Group に参加するルータの認証
HSRP を究める - 実践編 (9) Standby Group を追加する
HSRP を究める - 実践編(10) Active Router に障害を発生させてみる(3)
HSRP を究める - 実践編(11) Standby Group に名前を付ける
HSRP を究める - 実践編(12) ICMP Redirect(1)Active Router
HSRP を究める - 実践編(13) ICMP Redirect(2)Passive Router
HSRP を究める - 実践編(14) ICMP Redirect(1)Unknown Router
HSRP を究める - 実践編(15) 設定用コマンド(1)
HSRP を究める - 実践編(16) 設定用コマンド(2)
HSRP を究める - 実践編(17) 設定用コマンド(3)
HSRP を究める - 実践編(18) 設定用コマンド(4)
HSRP を究める - 実践編(19) 設定用コマンド(5)
HSRP を究める - 実践編(20) show コマンド

HSRP を究める - 応用編(1) 複数のインターフェイスをトラッキングする(1)
HSRP を究める - 応用編(2) 複数のインターフェイスをトラッキングする(2)
HSRP を究める - 応用編(3) IP の経路情報 をトラッキングする(1)
HSRP を究める - 応用編(4) 異なる種類のObject をトラッキングする
HSRP を究める - 応用編(5) 特定のIP アドレスへの到達性をトラッキングする
HSRP を究める - 応用編(6) トラッキング対象のObject に重み付けをする
HSRP を究める - 応用編(7) HSRP version 2
HSRP を究める - 応用編(8) HSRP version 2 のパケットフォーマット
HSRP を究める - 応用編(9) HSRP version 2 (2)


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