STP を究める 基礎編 (2)LAN とBridged LAN
STP (Spanning Tree Protocol) の話をする際、「LAN の中でもっともプライオリティが高い」という表現が頻繁に出てきます。
ここで言うLAN は、普通LAN と聞いて思い浮かべるLAN とは少しちがいます。
下図では、三つのEthernet セグメントが、2台のブリッジ(Bridge-A、B)によって接続されています。
各セグメントには、LAN-1、LAN-2、LAN-3 と名前がついています。
STP のトポロジーを考える場合、このように、Ethernet セグメント = LAN となります。
つまり、このネットワークには、LAN が三つあることになります。
このように、複数のLAN がブリッジで相互接続された状態を、Bridged-LAN(ブリッジドLAN:ブリッジされたLAN) と呼びます。
この定義は、IEEE 802 (LMSC: LAN and MAN Standard Committee) により定められたものです。
LAN とは、IEEE802.3 や802.5 といった規格で定められている範囲のもの、ということができます。
それらを相互接続するための規格が、IEEE802.1d です。
※ IEEE 802.1d = Local Area Network - Media Access Control (MAC) Bridges
STP の話をしているときにLAN と言う場合、Ethernet であればCollision Domain (コリジョンドメイン)と同じ意味になります。
UTP や光ケーブルでブリッジ同士がPoint-to-Point 接続されている場合は、その部分がLAN です。
Layer2で動作する機器には、ブリッジとスイッチがあります。
どちらも、受け取ったフレームから送信元MAC アドレスを学習するラーニングブリッジです。
受け取ったフレームの宛先MAC アドレスをキーに、MAC アドレステーブルを参照して転送先ポートを決定するという動作に変わりはありません。
フレームの転送処理をCPU (ソフトウェア)で行うのがブリッジ、ASIC (ハードウェア)で行うのがスイッチ、という認識が一般的です。
処理を行うコンポーネントが違うだけで、本質的に同じものと言えます。
STP の観点からは、ブリッジとスイッチに違いはありません。
本特集では、文脈に不都合が生じない限り、ブリッジに統一します。
- STP を究める 基礎編 の内容は、特に明記しない限り、1998年版のIEEE 802.1D に基づいています。
Bridge ID、Port ID、Path Cost 値など、IEEE 802.1T で行われた仕様の拡張は、2004年版のIEEE 802.1D に盛り込まれています。
これらの拡張仕様については、応用編にて説明する予定です。
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