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STP を究める 基礎編 (6)Root Path Cost (ルートパスコスト)

本特集の第一回:スパニングツリーとルーティングプロトコルで、STP の目的はRoot Bridge(ルートブリッジ)への最短パスを探し出すことだ、とお話しました。

ルートブリッジへのパスが複数ある場合、最短パス以外を閉塞(ブロッキング)させることで、ループ状態を回避します。

複数のパスから最短パスを特定するための判断基準 (尺度)として、コストを用います。

ポートに設定されているコストを、Path Cost (パスコスト)と呼びます。
Root Bridge までのパス上に存在する各ブリッジのPath Cost を合計したものを、Root Path Cost (ルートパスコスト)と呼びます。

Root Bridgeは、ツリートポロジの基点となるブリッジです。このRoot Bridge をコスト0(ゼロ)とします。
Root Bridge からトポロジの周縁部に向かってブリッジを越えるたびに、コストを加算していきます。
あるブリッジからRoot Bridge へのパスが複数ある場合、加算されたコストを比較し、最もコストが小さいパスが選択され、そのほかのパスは閉塞されます。

Path Cost は、ブリッジの各ポートに設定される値です。

上図では、左側のBrige-A がRoot Bridge になっています。
右側のBridge-B のPort 1 と2 には、Path Cost がそれぞれ10 と20に設定されています。
この場合、Port 1のPath Cost の方がPort 2と比べて小さいので、Root Bridge (Bridge-A) までのコストが小さいと判断されます。
Path Cost は一台のブリッジに一つではなく、ポート毎に保持する値である点に注意してください。

Root Path Cost はブリッジを越えるたびに加算されます。
Root Bridge との間に他のブリッジが存在する場合、通過した全てのブリッジのコストを合計した値が、そのポートのRoot Path Cost となります。

Root Path Cost の加算は、Root Bridge からのデータ(※)を受信したポートで行われます。
上図で、Bridge-B のPort 2のコスト(5)が、加算の対象となっていないのはそのためです。


    Root Bridge から送信される(他のブリッジにより中継される)データを、BPDU (Bridge Protocol Data Unit) と呼びます。
    BPDU については、「STP を究める 基礎編 (9)Configuration BPDU (コンフィグレーションBPDU)のフォーマット」で説明します。

IEEE 802.1D では、ポートに設定可能なPath Cost を以下のように定めています。
(1998年版 IEEE 802.1D - Table 8.5 Path Cost Parameter Values より抜粋)



    STP を究める 基礎編 の内容は、特に明記しない限り、1998年版のIEEE 802.1D に基づいています。
    Bridge ID、Port ID、Path Cost 値など、IEEE 802.1T で行われた仕様の拡張は、2004年版のIEEE 802.1D に盛り込まれています。
    これらの拡張仕様については、応用編にて説明する予定です。


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