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STP を究める 基礎編 (7) Root Port (ルートポート) とPort ID

前回のSTP を究める 基礎編 (6)Root Path Cost (ルートパスコスト)で、Root Path Cost(ルートパスコスト)を判断基準として、Root Bridge までの最短パスを探し出すことをお話ししました。


あるブリッジからRoot Bridge への最短パスとなるポートを、そのブリッジのRoot Port(ルートポート)と呼びます。

Root Bridge 以外のブリッジは、必ずRoot Port を一つ持ちます(※)。
Root Port はそのブリッジにとって、もっともRoot Bridge に近いポートであると言えます。

ブリッジ上の複数のポートからRoot Bridge へ到達することができる場合、最もRoot Path Cost が小さいポートが、そのブリッジのRoot Port となります。

下図のBridged-LAN では、Bridge-A がRoot Bridge となっています。
Bridge-B、C のどちらも、Root Bridge へのパスが二つあります(Port1、2)。
Port1 とPort 2 の間でRoot Path Cost を比較した結果、どちらのブリッジも、Port1 がRoot Port となります。


※ CatOS で動作するCatalyst は、Root Bridge となっている場合でも、Root Port が表示されます。



Catalyst> (enable) show spantree 1
VLAN 1
spanning-tree enabled
spanning-tree type ieee
Designated Root 00-10-0d-b1-78-00

Designated Root Priority 8192
Designated Root Cost 0
Designated Root Port 1/0
Root Max Age 20 sec Hello Time 2 sec Forward Delay 15 sec
Bridge ID MAC ADDR 00-10-0d-b1-78-00
Bridge ID Priority 8192
Bridge Max Age 20 sec Hello Time 2 sec Forward Delay 15 sec

ポート番号1/0 は、実際には存在しない番号であることに注意して下さい。
1/0 は、Slot1(Supervisor モジュール)のポート0を意味します。
ブリッジとしてのCatalyst の視点から見て、内部ポート1/0 に接続されているCPU(=自分自身)にRoot Bridge が存在することを表現しています。



ブリッジが2台以上存在する場合、個々のブリッジを特定するための名前(ID: Identifier)が必要だと、STP を究める 基礎編 (5)Bridge ID とRoot Bridge (ルートブリッジ)でお話しました。

つまり、ブリッジに限らず、二つ以上存在するものには、区別するための名前が必要ということです。

多くの場合、Bridged-LAN には2台以上のブリッジが存在します。
視点を変えて、Bridged-LAN の中の1台のブリッジに注目してみましょう。

ブリッジの中にも、二つ以上存在するものがあります。

ポートです。
そもそも、二つ以上のLAN を接続するための(逆に言えば、一つのLAN を二つ以上に分割するための)機器がブリッジです。
複数のLAN に接続するため、ブリッジには必ず二つ以上のポートが存在します。

複数存在する以上、ポートにも区別するための名前が必要です。

ポートに割り当てられている名前を、Port ID(ポートID)と呼びます。
Bridge ID と同様にポートID も、各ポートの優先度を意味するPort Priority(ポートプライオリティ)という値とポート番号を合わせた値を使います。

Port Priority は、0から255(10進数)の間で設定可能です。
IEEE 802.1D で推奨するデフォルト値は128(16進数の0x80) で、Cisco のCatalyst を含め多くの機器はこの値をデフォルト値にしています。

Bridge ID は、ブリッジ同士で比較してRoot Bridge を決定するために使われました。
Port ID も、同じように比較するために使われます。
この場合、比較の対象となるのは他のブリッジではなく、同一ブリッジ内のポート同士です。

Port ID を比較しなければならないのは、どのような状況でしょうか?

下図のBridged-LAN では、Bridge-A がRoot Bridge となっています。
Bridge-B のPort1 と2はどちらも、LAN-1 に接続されており、Bridge-A からまったく同じデータを受信します。

このように、ブリッジ上の複数のポートがまったく同じデータを受信し、且つ、ポートに設定されたコストが同じ場合、どちらがRoot Bridge への最短パスか、判断できません。
そのような状況で、最短パスを選択するための判断基準として用いられるのが、Port ID です。

上図の説明に戻ります。
Bridge-B のPort1 とPort2 はどちらもLAN-1 に接続されており、Bridge-A から同じデータを受信します。
どちらのポートもCost は10に設定されています。
二つのポートのPort ID はそれぞれ、80:1 と80:2 です(Port Priority = 0x80 とポート番号)。
両者のPort ID を比較した結果、 Port ID が小さいPort1 がRoot Port となります。


    STP を究める 基礎編 の内容は、特に明記しない限り、1998年版のIEEE 802.1D に基づいています。
    Bridge ID、Port ID、Path Cost 値など、IEEE 802.1T で行われた仕様の拡張は、2004年版のIEEE 802.1D に盛り込まれています。
    これらの拡張仕様については、応用編にて説明する予定です。


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